お金になるものがあると気がついてはいっていったの。そして、いくらに髪を買って下さるか尋ねたのよ。店の人は、女の子が髪を売りに来たことなんか、あまりないらしく、びっくりしていたけど、あたしの髪の色は、今の流行ではないといって、なるべき安く買おうとするのよ。そこであたしお金のいるわけを話したりして、ぜひぜひといそいだの。そうしたら、おかみさんが聞きつけて出て来て、買って娘さんをよろこばしておあげなさいよ。あたしにも売れるような髪があったら、家のジンミイのためなら売りますよと、とても親切なんでしょ。ジンミイというのは、出征している息子ですって。」
話がおわると、メグが尋ねました。
「切られるとき、こわいと思わなかった?」
「床屋さんが道具を出しているあいだに、あたし見おさめに、じぶんの髪をながめたわ。でも、あたしめそめそしないわ。でもきってしまったら、腕か足きられたようなへんな気持したわ、おかみさんはあたしがきられた髪をながめているのに気がついて、長い毛を一本ぬいて、しまっておきなさいといってくれたの。おかあさん、記念にこれさしあげます。きったらさっぱりして、あたしもう二度とのばそうと思いません。」