紅焼牛腩 : 牛バラ肉の醤油煮込み
とろ火でじっくり時間をかけて煮込めば、とろける食感に
今回は広東の名菜、牛バラ煮込みを紹介しよう。
紅焼(ホンシャオ)とは醤油を主体とした調味料で煮込む料理、牛腩(ニュウナン)は牛バラ肉を指す。ばら肉を「腩」とするのは広東圏ならではで、メニューをパラパラっとめくった際ににこの文字が現れたら広東系の店だと思ってまず間違いないだろう。
牛バラ肉と言うと焼肉のカルビなど柔らかいのを想像するが、煮込み料理には少し肉質の硬い部分を使用する。
それでも脂身を多く含んだバラ肉なのでその持ち味は濃厚で、じっくり煮込めば和牛ならあたかもサーロインのような柔らかさとコクを持った味わいとなるだろう。
肉質の硬い輸入牛肉では少し淡白な仕上がりになるだろうが、それでも箸で簡単に崩れるくらい柔らかくなるぞ。
もともと中国で食されてきた牛は農耕用などの肉カチカチの牛だったので、そのほうが本来の味に近いかもしれないな。
八角は香り付けと同時に臭み消しになる。一緒に長時間煮込めば柔らかく、そして旨くなる。
素材の質が悪くても、技術でそれを乗り越える。
それが中華の神髄である。
それでは例によって作り方を続きに書くぞ。
紅焼牛腩 (ホンシャオニュウナン)
材料
牛バラ塊肉 500g
青菜 適量
醤油 大匙4
砂糖 大匙2
紹興酒 大匙3
にんにく 1片
生姜 薄切り1枚
ローリエ 1枚
白葱(青い部分) 1本分
八角 4片~1個(好みで)
水、水溶き片栗粉 下記参照
作り方
下ごしらえ
まず牛肉は繊維に対して垂直に4センチにカット、横×高さは3センチ程度に切る。大振の一口大となる。
鍋にたっぷりの湯を沸かしたら切った肉を入れる。
再度沸騰して灰汁がしっかり浮いてきたところで肉をザルに上げ、水で軽くすすぐ。ゆで汁は捨てる。
中華なべを洗って水を1.6リットル程度入れて火にかける。
ここに醤油から紹興酒までの調味料を入れて沸騰させ肉を入れる。
再度沸騰したら叩き潰したにんにく、生姜、ローリエ、白葱、八角(苦手なら省いても)を入れて、また沸騰したところでとろ火に変える。クツクツと煮立つくらいの火加減だ。
灰汁や油は溜まってきたら適時すくえよ。
このまま2時間半~3時間煮込む、肉は30分に1回くらい返してやれ。
あと火加減。煮汁が減ると相対的に火力が強くなるから、こまめに調節してやること。
途中で煮汁が少なくなってきたら足してやれ。
そうなる場合は基本的に火力が高い。
逆に2時間半以上経過してもまだ煮汁の味が薄い場合はもう少し火力を上げて引き続き煮込め。
肉をコトコトに込んでいる間に付け合せの青菜をゆでておこうか。
水1リットルに対して塩小匙1、油大匙1(共に分量外)を沸騰してから加える。
続いて青菜を入れるわけだが、均一に火を通すには茎→葉の順で入れていくこと。
茎の端の部分が少し透き通ってきたらザルにあげ、しっかり水気を切っておく。
下味をつけてあるので色止めはしないぞ。
仕上げ
煮汁が200cc程度まで煮詰まり、味のピントがしっかり合ってきたところで仕上げに入るぞ。
火を止めて、いったん肉を引き上げる。もうトロトロになってるだろうから崩さないように慎重に行けよ。
肉をすべて引き上げたら煮汁を布漉しする。漉し紙でもいいぞ。
鍋を洗って火にかけて漉した煮汁を入れて煮立てたら、水溶き片栗粉大匙1程度入れて混ぜ、軽いとろみを付ける。
とろみが付いたら肉を戻しいれ、煮汁を肉全体に絡めろ。
火を止め、深皿に肉を小高く盛り付けて煮汁を回しかけ、塩油でした青菜をあしらえば完成だ。
立体的に盛り付けたほうが美味そうに見えるぞ。