ベスは、はにかみ屋で、学校へもいけないほどでした。それでおとうさんが勉強を見ていましたが出征しなすってからはおかあさん、かあさんが軍人後援会へいくようになってからは、ひとりで勉強します。性質は勤勉で家事が好きで、ハンナを助けて家をきれいにしますが、まだ子供で、人形と遊ぶことが、なによりのたのしみでした。けれど、このベスにも、苦になることがありました。それは、音楽好きなのに、よいピアノもないし、音譜もないことで、音楽の勉強が思うようにできないので、涙をながすことがときどきありました。
エミイのつらいことには、鼻が美しくないことで、エミイにいわせると、あかんぼのとき、ジョウが手をすべらして炭取のなかへ落したためだそうです。エミイは絵がじょうずで、花を写生したり、空想的な絵もかきます。それに十あまりの曲もひくし、フランス語も読めるし、性質は素直でおとなしいので、みんなからかわいがられました。
さて、晩に、みんながいっしょにお裁縫をはじめたとき、メグがいいました。
「今日はほんとにくさくさした日だったわ。なにかおもしろい話でもない?」
すると、ジョウがすぐにいいました。