中華唐揚げ

材料
鶏モモ肉 500g
紹興酒 大匙1
塩 小匙1/2
醤油 小匙1
胡椒・うまみ調味料 各少々
にんにく(おろし) 小匙1.5
しょうが(おろし) 小匙1.5
ごま油 小匙1

コロモ
溶き卵 1個分
片栗粉 大匙5~6

花椒塩

作り方(3/30一部追記)
下準備
まず鶏もも肉の下拵えな。皮を下にしておいて、包丁の裏で肉を縦横に叩いてやる、こうすれば肉が柔らかくなるぞ、白い筋があれば切れ。
次に厚みを均一にしてやる為、太い部分は横から包丁を入れて開く。間違って切り取ってしまうなよ。それが出来れば鶏肉を大き目の一口大に切り分け、下味付けだ。ボウルに鶏肉を入れ、調味料の紹興酒からごま油までを入れ、よく揉みこんで肉に馴染ませる。そのまま30分くらい放置しとけ、夏場はラップして冷蔵庫だぞ。

本調理
鍋にたっぷり油を入れて160度まで熱する、この間にころもを作るぞ。
まず鶏肉が入ったボウルに溶き卵を3~4回に分けて入れ、つかむように都度揉み混ぜながら鶏肉に吸わせていく、次に片栗粉をまぶし、粉気がなくなるまでよく混ぜる。この作業は揚げる直前にやれよ。

油が温度に達したら手早く鶏を入れていく。入れるときはヤケドに注意しろよ、投げるとかえって危ないぞ。鶏肉が油についてから手を放すんだ、さっさとしろよ、気合だ気合。入れたらくっついた肉をほぐしてそのまましばらく揚げる、中火な。

7割方火を通し、衣が黄色く色付いて固くなって来たところで一度引き上げる、唐揚げが底から軽く浮いてくる頃合だな。
油はそのまま中火で今度は180度まで熱していくぞ。鶏肉は放っておいて構わん。余熱で中に火を通すから、逆にしばらく置いてやったほうが良い。

油が180度に達したら鶏肉を全部入れ、今度は強火に変える。高い温度で揚げる事により、カラッと軽い衣に仕上げる事が出来る。
水がはじけるような音が少し収まり、泡が小さくなって表面がこんがりとなったところで一気に引き上げる。揚げすぎに注意しろよ。

油をよく切って器に盛り付け、レモン、花椒塩を添えて完成だ。
花椒塩はスーパーに行けば売っているぞ(多分)

鶏肉のレモンソースがけ

檸檬軟鶏 (ニンモンルァンヂィ)

材料
鶏モモ肉 300g(1枚)
片栗粉 大匙1
溶き玉子 大匙1
水 大匙1

鶏肉下味用
塩 小匙1/2
胡椒 少々
紹興酒 大匙1

レモンソース
バター 角1個(8g)
蜂蜜 40g
レモン 1個
日本酒 小匙2
塩 一つまみ(1g程度)
水溶き片栗粉 小匙1程度

作り方
鶏肉はまず皮の部分を下において、厚い部分に包丁を入れて開いてやる。肉の厚みが均等になるようにな。
続いて筋があれば切り、包丁の背で格子状に荒く叩く、こうすれば肉が柔らかくなる。
最後に肉全体に下味用調味料をすり込んだらそのまま放置しとけ。

檸檬ソースは飾り付け用にスライスした物を数枚残しておき、あとは絞る。もちろん輪切りの分も絞れ、絞らず飾りたい場合はその分のレモン汁を足しておくこと。檸檬は事前にしっかり洗っとけよ。

レモンを絞ったら種を取り除き、はちみつと塩と酒を加えて混ぜ合わせておく、一緒にレモンスライスも入れとけ。この辺りから部屋が甘酸っぱい香りに包まれて凄く幸せな気分になる。だから何だって?別に。

バット(又はボウル)に溶き卵、水、片栗粉を各大匙1ずつを良く混ぜ合わせ、鶏肉を入れてしっかり絡めておく。

中華鍋に油をたっぷり入れ、火にかける。油の温度が140~150度程度になったら、余分な衣を切った鶏肉を皮目を下にして滑り込ませ軽く揚げる。油の温度は150前後を保つように調節する事。
少し揚げて表面の衣が固まってきたらジャーレンか網等に乗せて揚げる。そのまま鍋底に沈んでたら衣が焦げるからな、こうしてやるんだよ。この時鶏肉が全部油に浸からないようならお玉で油をすくってかけながら揚げてやるといい、時折ひっくり返してな。

しばらく揚げていると徐々に泡が小さくなってくるのが分かるだろ。こうなってくるともう一息だ。火を中火以上にして油の温度を170~180℃くらいまで徐々に上げていきながら揚げていくんだ。火の通りは鶏肉のごっつい部分に菜ばしを突き刺してみて見る。赤い汁が出てこなければ揚げ上がりの合図、鶏を引き上げ、油を捨てる。中華鍋が汚れている場合は一度洗えよ。

中火にしてバターを入れ、バターが立ってきたところで、先ほど合わせた檸檬ソースの材料を入れて混ぜ合わす。
沸騰しそうになったら(沸騰させるなよ)水溶き片栗粉を小匙1程度入れてかき混ぜながらごく軽いとろみを付け、火を止める。とろみはかすかに付いているかどうか位でよい。少し冷めたら丁度良くなる。絶対とろみを付けすぎないように気をつけろよ。

最後に揚げた鶏肉を一口大に切って皿に盛り付け、上から檸檬ソースをかけて完成だ。
檸檬ソースは衣の表面が熱いうちにかけたいから手早く作る事。

牛バラ煮込み

紅焼牛腩 : 牛バラ肉の醤油煮込み
とろ火でじっくり時間をかけて煮込めば、とろける食感に

今回は広東の名菜、牛バラ煮込みを紹介しよう。
紅焼(ホンシャオ)とは醤油を主体とした調味料で煮込む料理、牛腩(ニュウナン)は牛バラ肉を指す。ばら肉を「腩」とするのは広東圏ならではで、メニューをパラパラっとめくった際ににこの文字が現れたら広東系の店だと思ってまず間違いないだろう。

牛バラ肉と言うと焼肉のカルビなど柔らかいのを想像するが、煮込み料理には少し肉質の硬い部分を使用する。
それでも脂身を多く含んだバラ肉なのでその持ち味は濃厚で、じっくり煮込めば和牛ならあたかもサーロインのような柔らかさとコクを持った味わいとなるだろう。

肉質の硬い輸入牛肉では少し淡白な仕上がりになるだろうが、それでも箸で簡単に崩れるくらい柔らかくなるぞ。
もともと中国で食されてきた牛は農耕用などの肉カチカチの牛だったので、そのほうが本来の味に近いかもしれないな。

八角は香り付けと同時に臭み消しになる。一緒に長時間煮込めば柔らかく、そして旨くなる。
素材の質が悪くても、技術でそれを乗り越える。
それが中華の神髄である。

それでは例によって作り方を続きに書くぞ。

 

紅焼牛腩 (ホンシャオニュウナン)

材料
牛バラ塊肉 500g
青菜 適量

醤油 大匙4
砂糖 大匙2
紹興酒 大匙3
にんにく 1片
生姜 薄切り1枚
ローリエ 1枚
白葱(青い部分) 1本分
八角 4片~1個(好みで) 

水、水溶き片栗粉 下記参照

作り方
下ごしらえ
まず牛肉は繊維に対して垂直に4センチにカット、横×高さは3センチ程度に切る。大振の一口大となる。
鍋にたっぷりの湯を沸かしたら切った肉を入れる。
再度沸騰して灰汁がしっかり浮いてきたところで肉をザルに上げ、水で軽くすすぐ。ゆで汁は捨てる。

中華なべを洗って水を1.6リットル程度入れて火にかける。
ここに醤油から紹興酒までの調味料を入れて沸騰させ肉を入れる。
再度沸騰したら叩き潰したにんにく、生姜、ローリエ、白葱、八角(苦手なら省いても)を入れて、また沸騰したところでとろ火に変える。クツクツと煮立つくらいの火加減だ。

灰汁や油は溜まってきたら適時すくえよ。
このまま2時間半~3時間煮込む、肉は30分に1回くらい返してやれ。
あと火加減。煮汁が減ると相対的に火力が強くなるから、こまめに調節してやること。

途中で煮汁が少なくなってきたら足してやれ。
そうなる場合は基本的に火力が高い。
逆に2時間半以上経過してもまだ煮汁の味が薄い場合はもう少し火力を上げて引き続き煮込め。

肉をコトコトに込んでいる間に付け合せの青菜をゆでておこうか。
水1リットルに対して塩小匙1、油大匙1(共に分量外)を沸騰してから加える。
続いて青菜を入れるわけだが、均一に火を通すには茎→葉の順で入れていくこと。
茎の端の部分が少し透き通ってきたらザルにあげ、しっかり水気を切っておく。
下味をつけてあるので色止めはしないぞ。

仕上げ
煮汁が200cc程度まで煮詰まり、味のピントがしっかり合ってきたところで仕上げに入るぞ。
火を止めて、いったん肉を引き上げる。もうトロトロになってるだろうから崩さないように慎重に行けよ。
肉をすべて引き上げたら煮汁を布漉しする。漉し紙でもいいぞ。

鍋を洗って火にかけて漉した煮汁を入れて煮立てたら、水溶き片栗粉大匙1程度入れて混ぜ、軽いとろみを付ける。
とろみが付いたら肉を戻しいれ、煮汁を肉全体に絡めろ。

火を止め、深皿に肉を小高く盛り付けて煮汁を回しかけ、塩油でした青菜をあしらえば完成だ。
立体的に盛り付けたほうが美味そうに見えるぞ。

黒酢酢豚

黒醋肉塊 (ヘイヅウロウクァイ)
材料
豚肩ロース肉 280g
白葱 好みで

甘酢あん
鎮江香醋 大匙4
砂糖 大匙4
醤油 大匙3.5
赤ワイン 大匙2
水 大匙4
水溶き片栗粉 大匙1.5
化粧油 大匙1


塩 小匙1/3
胡椒 少々
紹興酒 大匙1
片栗粉 大匙1.5
溶き玉子 大匙2
片栗粉(仕上げ) 適量

名古屋風唐揚げ

  • 鶏に塩、こしょう、小麦粉であげる。
  • [A] 水
    大さじ 3
  • [A] おろしにんにく
    1/2 片分
  • [A] しょうゆ
    大さじ 4
  • [A] 酒
    大さじ 4
  • [A] みりん
    大さじ 2
  • [A] 砂糖
    大さじ 1
  • [B] 白すりごま
    大さじ 3
  • [B] 粗挽き黒こしょう
    たっぷり (お好みの量

ローストビーフ

まずはいい肉をGETすること!

塩、こしょうをし強火で表面をこんがりフライパンで焼く。

その後コンべクションで245℃ 30分焼く。

その後アルミホイルで包み30分寝かせる。

なるべく薄く切る。

ラタトゥイユ

夏野菜料理の王様『ラタトゥイユ! 失敗しないコツ』

ラタトゥイユはフランス南部プロヴァンス地方を代表する野菜料理。よく似た料理にイタリア料理のカポナータがありますが、この二つには似て非なる別物です。カポナータの作り方は別の機会にご紹介しますが、今日のテーマはラタトゥイユ。

ラタトゥイユをつくると

  1. なんとなくぼやけた仕上がりのもの
  2. 油っこいもの

という残念な仕上がりになることがあります。いくつかのコツを踏まえれば美味しく作れます。いつもより丁寧な作り方かもしれません。まずは材料です。

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ラタトゥイユ(4人前)

トマト 3個(約500g)

にんにく 2片

玉ねぎ 小1個(約150g)

オリーブオイル 大さじ2

バジルの茎、ローリエ、赤唐辛子 適量

トマトペースト大さじ1

ズッキーニ 2本(今回は大きいものだったので1本 250g〜300gが重量目安)

なす    3本(約250g)

パプリカ(赤、黄)各1個

玉ねぎ 小1個(約100g、今回は極小を2玉使用 4mm厚のスライス)

まさに季節の夏野菜勢揃い、という印象。ちなみにカボチャなどを入れてもボリュームが出て美味しくなります。まずはパプリカの皮剥きから。

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他に皮をむく方法は色々有りますが、コンロの直火にかけて、皮を焦がします。

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くぼみや茎の部分などが焦げないことがあるので、お店ではバーナーを使ったりします。あると便利ですが、なくても平気です。

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焼きあがったら決して水にとってはいけません。ボウルにいれてラップをかけて蒸らしておきます。こうして冷ますことであとから皮が剥けやすくなります。

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冷ましているあいだにトマトの皮も剥いてしまいましょう。湯むきでもいいのですが、同じように焼いてもOK。

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簡単に皮を剥くことができます。

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半分に切って種を取りのぞきます。種のまわりの部分にはうま味が多く含まれているのでぜひとも使いたいところですが、種自体は硬くて味がないのでこのようにザルに移して……。

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濾してしまいましょう。トマトは角切りにします。

トマトコンサントレをつくっていきます。にんにく、たまねぎはみじんぎりにしておきます。

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鍋にオリーブオイル大さじ2とニンニクのみじん切りを入れて中火にかけます。

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しばらく炒めたら、みじん切りにした玉ねぎを加えてさらに炒めていきます。

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弱火で透明感が出て、少ししんなりするまで炒めましょう。玉ねぎのみじん切りが上手にできていれば多少いい加減でもなんとかなりますが、粗いみじん切りの場合はより丁寧に炒めます。

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トマトの角切りと、さきほどの濾した種のまわりのジュースを入れます。火加減は弱火から中火(強火でもOK)に戻しましょう。

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バジルの茎、ローリエを加えます。タイムがあれば入れるといい香りが出ます。種をとった赤唐辛子を一本加えました。辛味を利かせて味を引き締めるためですが、辛いのが苦手なら入れなくてもOK。今回はトマトペーストを大さじ1加えました。熟した美味しいトマトなら入れなくても大丈夫。水分が沸騰してきたら弱火に落とします。

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蓋をしめて15分。煮込みます。

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十五分経ったら蓋をあけて水分を飛ばしていきます。写真は10分経過したものです。火加減やトマトの違いによって時間には差が出てきますが、写真のように木べらやシリコンベラでかき混ぜて、鍋底がみえるくらいの濃度がついてきたらOK。この煮詰め具合が非常に重要になります。

よく煮詰めたほうが濃厚になる気がしますが、オリーブオイルが乳化するには一定の水分が必要。煮詰めすぎると分離してしまいます。適当なところで止めて、一度ボウルにうつします。

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出来上がり分量が350gでした。そこで1%の塩分を加えて味をつけます。つまり、今回は3.5gですね。

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これが最初のコツ。すべてのパーツごとに、適度な塩味をつけていくのです。慣れてくれば計らなくても適当に塩を振ればいいのですか、ちゃんと計量したほうが失敗はありません。こうすることで仕上がりの味がぼやけるのを防ぐことができます。まずはきちんと味がついたソースができました。

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パプリカの皮を剥いて、棒状に切ります。

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こちらもきちんと重さを計り、重量を計算します。およそ180gですから、1.8gの塩を用意して、

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混ぜあわせておきます。このように一つ一つに塩味をつけていくのです。レシピにはよく「最後に塩コショウで味をととのえる」という表現がありますが、フランス料理では都度、味をつけていき、少しずつパーツごとに整えていきます。この塩の量の調節が味を決めます。

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ズッキーニも切っておきましょう。重さを計っておきます。ぴったり300gですね。

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さて、なすは1cmの厚さの輪切りにしました。ラタトゥイユにはしっかり煮込んで一体感を出した仕上がりと、あまり煮込まずフレッシュ感を出したものがあります。今回はあまり煮込まずフレッシュな感じを残したいので、野菜あえて不揃いに切り、リズム感を出します。逆にしっかり煮込んで一体感を出したければ形を揃えましょう。

2つ目のコツです。なすに1%の重量の塩を振って、15分置くのです。ナスのアク抜きに塩を振るのは昔ながらの方法。ナスのアクの成分は塩を振るだけでは消えませんので、おそらく苦味を塩味でマスキングするためだったと考えられます。ちなみに偉大なるシェフ、ジョエル・ロブションは「ナスから水気が出てしまうので、塩を振ってアク抜きはしないほうがいい」と薦めています。現在のナスは品種改良が進み、エグみや苦味が少なくなったことがその理由。

ロブション氏の意見には賛成ですが、今回は教えに逆らって塩を振っています。何故でしょうか? それは塩を振ることで、ナスが油っぽくなるのを防ぐことができるからです。メカニズムはこうです。ナスは空洞の多いスポンジ状をしています。そのため、そのまま調理すると油が吸い込みやすのです。予め塩を振って水分を出すことで、その空洞を水分で埋めてしまうことができます。そうすることで油が入ってくるのを防ぐことができるのです。このことは簡単な実験で確かめることができます。四等分などの大きめに切ったナスを用意し、予め塩を振ったものとそうでないものの二つを用意します。予め重量を計り、オイルで焼きます。焼きあがってからもう一度、重量を計ります。増加分が油の量です。すると予め塩を振ったもののほうが油を吸い込んでいないことがわかります。この工程をとることでラタトゥイユが油っぽくなるのを防ぐことができます。

さて、15分経ったものです。

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水分が浮いているので、ペーパーで拭き取ります。

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鍋にオリーブオイル小さじ1を熱して具材になる玉ねぎを軽く炒めます。玉ねぎの重量が100gですから1gの塩で味をつけます。表面が透明になればOK。

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さきほどのパプリカを加えて、さらに炒めます。

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ソースを加えましょう。

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混ぜあわせて、弱火にかけて置きます。

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さて、大さじ1のオイルでさきほどのナスを焼いていきましょう。中火でじっくりと加熱していくのがコツ。表面はこんがりと、なかは焼きナスのようにジューシーになるのは予め塩をしてあるので早く火が入るから。ナスの果肉よりも水分のほうが熱が伝わりやすいのです。

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熱々の鍋に加えます。

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大さじ1のオリーブオイルでズッキーニも両面、こんがりと焼きましょう。ズッキーニはナスとは果肉の構造が異なりますので、あらかじめ塩を振ってはいけません。両面にこんがり焼き色がついたら、1%重量の塩で味付けをします。今回は3gです。

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ズッキーニはなすとちがって油を吸わないので、表面の油をペーパーなどで軽くとります。それから鍋にうつします。

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弱火にかけたまま優しく混ぜあわせていきます。ラタトゥイユは煮込み料理ですが、今回はあまり煮込みません。それぞれの素材の味を活かした仕上がりにします。全体が熱々になればOK。煮詰まるとソースの塩分が濃くなってしまいます。

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出来上がりです。ポーチドエッグなどを添えれば前菜になります。野菜をあえて不揃いにすることで、持ち味を活かしました。それぞれに炒めることと、ひとつひとつにきちんと味をつけることが美味しさの決め手です。

トマト・コンサントレをつくるのが面倒なら以前にご紹介した『基本のトマトソース』でも美味しくつくることができます。野菜の量のバランスも重要なので、とにかく計ることで味が安定します。よくレシピには小さじ……という形で書かれている塩の量ですが、野菜の重さが変われば塩分量も変わってきます。一概に小さじ、大さじでは伝えられないのが難しいところ。

野菜の重さや塩を計るのは面倒そうに見えるかもしれませんが、まないたと鍋の横に計りを置いておけば簡単です。ラタトゥイユは大量につくることが多いので、目分量では塩味が狂いがち。一度くらいは正確に計量して料理をしてみるとはいかがでしょうか。

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おまけですが、ラタトゥイユは冷たくしても美味しく食べることができます。その場合は仕上げにワインビネガーを小さじ1ほど加えると美味しくなります。冷たくすると塩味などを感じにくくなるからです。白ワインビネガーでも赤ワインビネガーでもお好みのものを。個人的には赤ワインビネガーが好みですが、米酢や穀物酢だとマイルドな感じになります。それでは。

レミーのラタトゥイユ

レミーのおいしいラタトゥイユ

以前、本格的なラタトゥイユの作り方をご紹介しましたが(夏野菜料理の王様『ラタトゥイユ! 失敗しないコツ』)今回はピクサーの名作『レミーのおいしいレストラン』に登場するラタトゥイユをご紹介します。

映画『レミーのおいしいレストラン』についての説明は省略しますが、この映画で料理を監修したのはアメリカの三ツ星シェフ、トーマス・ケラー。映画のプロデューサーは二日間彼の店、フレンチ・ランドリーに入って研修も積んだそうです。

『料理人誕生』などの著作で知られるマイケル・ルールマンとの共著、フレンチ・ランドリークックブックはフランス料理を学ぶなら是非参照しておきたい一冊

『料理人誕生』などの著作で知られるマイケル・ルールマンとの共著、フレンチ・ランドリークックブックはフランス料理を学ぶなら是非参照しておきたい一冊

ケラーのラタトゥイユはとびきりエレガント。元ネタは『バヤルディ風コンフィConfit byaldi』というミッシェルゲラールの料理です。byaldiというのは茄子を使ったトルコ料理ですが、ゲラールは縞剥きにしたズッキーニと茄子を薄切り、シャンピニオンとトマトも薄切りにしてオーブン皿にきれいに並べ、オリーブオイルとタイム、にんにくのみじんぎりで風味をつけてオーブンで焼いています。トーマス・ケラーはそれをヒントにラタトゥイユをリファインした、というわけ。偉大なシェフの料理はこんな風に進化していくんですね。

これがトーマス・ケラーのラタトゥイユ。

これがトーマス・ケラーのラタトゥイユ。

映画では細かい点でアレンジが加えられているようです。フレンチ・ランドリー版(写真)では下にピペラード(ピーマンとオニオンなどのコンフィ)を敷きますが、映画ではどうやらそれをベースにしたソースを注いでいるようです。(いずれにせよトマトソースではないことに注意!)

今回はトーマス・ケラーのレシピを参考に映画に登場するラタトゥイユに近づけた食育通信版のシンプルレシピです。

それでは早速材料から。

レミーのおいしいラタトゥイユ(作りやすい分量)

なす  2本(長いものなら1本)

ズッキーニ 黄ズッキーニ 各1本

加熱用イタリアトマト 4個

〈ソース〉

赤ピーマン 1個(150g相当)

新玉ねぎ  1個(普通の玉ねぎでも可 180~200g相当)

にんにく  3片(18g相当)

EVオリーブオイル 20cc(大さじ3くらい)

塩     2g

胡椒    適量

ローズマリー 少々(2枝)

まずは材料の準備から。

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この分量だと少し多めにできます。すべて半量だと4人前でちょうどいいくらいかもしれません。

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まずは赤パプリカのカットから。一片をカットし、、、

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切った面を下にして、残りの面を切っていくとゴミが出ません。

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こんな風に、、、

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四面、カットします。

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最後に下を切り落とせばいいのです。これが一番、簡単で早い切り方。赤ピーマンと玉ねぎは薄くスライスします。

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にんにくもスライス。蓋ができる鍋に準備しておきます。鍋が薄い場合は油を敷きますが、後で多めに投入するので入れなくてもOK。

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加熱用のトマトを湯剥きします。加熱用を使うのは大きさの都合ですが、水分が少ないのできれいに仕上がるというメリットもあります。もしも手に入らなければ大きめのミニトマトでも大丈夫です。

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よく切れる包丁で薄くスライスしていきます。先端とお尻が余りますので、それはソースに使います。

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緑ズッキーニ、黄ズッキーニ、茄子も1mmにスライスしていきます。こちらも先端部分とお尻があまりますので、ソース用に回します。

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野菜を全部スライスしたら、形の悪い部分などがあれば勿体無いので、一緒にソースの鍋で煮込んでいきます。

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蓋をして中火にかけます。ぱちぱちと音が出てきたら火を弱火に落とします。

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時々、かき回しながら10分間~15分間、野菜の水分で蒸し煮にしていきます。

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野菜がすっかりやわらかくなればOK。

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ミキサーに移して、塩を2gとローズマリーとEVオリーブオイルを加えます。オリジナルのレシピの場合はタイムなどのハーブも入りますが、とりあえずローズマリーだけで大丈夫。オリーブオイルを最初ではなく、最後に入れることで香りを生かすことができます。

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ミキサーにかけてなめらかなソースにします。胡椒を加えて味見をします。このソース、結構多めにできてしまいます。半量のレシピにしようかな、とも思ったのですが、野菜の水分量がかわってしまい焦げやすくなるで、多めに作ったほうが作りやすいです。残ったソースはビネガーを少し加えると魚料理や肉料理など万能のソースになるので、活用してください。

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オーブン皿にソースを敷きます。ここでソースの量が多すぎると野菜が煮えてしまうので注意。写真くらいの量にしましょう。

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さて、いよいよ野菜を並べていきます。ある程度の量を手で重ねてからお皿に移すようにすると作業が早いです。

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こんな感じで並べていきます。外側を一周したら、今度は逆周りになるように内側に並べていきます。

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並べ終わったら、ローズマリーを散らし、オリーブオイルをまんべんなくかけます。

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焦げるのでオーブンペーパーをかぶせて、150度のオーブンで一時間焼きます。低温のオーブンで長時間焼くことで、野菜の味を引き出します。オーブンのなかでコンフィ(油煮)のような状態になるわけです。

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焼き上がり。味が足りなければここでフルール・ド・セルをふりかけます。

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セルクル型があれば映画に登場する仕上がりに近づけることができます。パレットナイフでごそっとすくいとり、セルクル型のなかに詰めます。

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型から抜いて、ハーブを載せ、バルサミコ酢とオリーブオイルを1:1でまぜたものをふりかければ完成。ハーブは在庫にあったタイムを載せましたが、映画に近づけるならシブレットのほうが近いかもしれません。

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オーブン皿はなんでもいいのですが、スキレットがあれば野菜の色が映えます。

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同じようにオーブンペーパーを被せて150度のオーブンで一時間。

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焼き上がりがこちら。前回紹介したラタトゥイユとは違い、こちらは複数の野菜が渾然一体となった仕上がりです。パルメジャーノチーズをふりかけて焼くなどのアレンジも利きます。

たまには映画に出てくる料理をつくる、というのも楽しいですね。是非、映画を見てから作ってみてください。